パリハーラムの傘 II
20世紀も終わりに近づいた1999年、一人の漫画家が引退を決意し、最後の一冊を出すことになった。
その年は春になっても天候が不順で、小さな地震があちこちで起きていた。夏、著者は一つの夢を見る。轟音とともに津波が迫り、逃げまどう人びとの叫び声のなかで気を失い……。しかしそれを作品にしようと思うと寒気と吐き気が襲ってきてできない。不思議なことに、雑誌の読者の体験談コーナーでも、「大津波の夢を見たからマンガにしてほしい」という投稿が、この時期多数あったという。
結局、最後の一冊は自身の過去の作品集ということになり、本の表紙画ができてきたが、一部が白紙のままどうしても埋まらない。締め切りぎりぎりまで何を描こうかと悩んでいた頃、彼女はふたたび夢を見る。そのなかで、映画のスクリーンのような真っ白な画面に、この文字が現れた。
『大災害は2011年3月』
何の根拠もなかったが、白紙部分はこの文言で埋めることとし、すべてが終わったかと思った。が、それがすべての始まりとなった。
本が出版されて12年後の2011年3月、東日本大震災が起きた。興味深いことに、何の霊感も自覚していないという著者は、自分の書いたことをすっかり忘れていた。後に一部の人たちが気づき、騒がれ始めてやっと本人も、自分の夢が現実となったことに気づいたという。こうして後に、この本は「平成の奇書」と呼ばれることになる。
表紙の“予言”とは裏腹に、その内容の大半は普通のマンガで、特に興味深いものでもない。夢のなかにはサイババも登場してきて、過去世はイギリス人の新聞記者、同時に著者の父親でもあったというから、これも“夢物語”の域を出ない。ただ、著者本人のインタビュー記事などを読んでみると、素朴で誠実な人柄らしいことが伝わってくる。
夢予知が実現したことが評判となって数年後の2021年7月、『私の見た未来 完全版』が出ることとなった。締め切りの直前、彼女はふたたび夢を見る。今回も映画のスクリーンのようなものに、黒文字でこう書かれていた。
『本当の大災難は2025年7月にやってくる』
しかも今回は、フィリピン海あたりが大きく盛り上がっているという具体的な描写を伴っていた。東日本のときの数倍はあろうかという大津波。あの夏に見たのは東日本大震災ではなく、このことかもしれないと彼女は思った。
かつて震災直後に出てきたシヴァ神の予言が思い出される。
『おまえの国は今、災害により苦しんでいる。
人びとは奉仕や慈善の心を忘れ、心静かに座るということもない。利己主義に陥り、否定的な想念と嫉妬が蔓延している。これらすべてが今回、国難として現れた。
慈しみ深い自然界は手加減をしてくれたが、残された歪みを解消するため、将来さらに大きな災厄が訪れる。それを軽減するため、儀式を捧げ、瞑想し、霊的生活を送るべきだ。
そうすることで、徐々に大気は浄化される。その様子をおまえは見ることになる……』(2011年4月20日)
「2025年7月」についてはその後も思うところがあり、質問の章を立てた。霊能を自認する人はとかく傲慢に陥りやすいが、この著者の人柄には好感が持てたし、サイババともご縁があるのかもしれない。それになんといっても、東日本大震災の何倍にも当たるような津波に来られてはたまらない。
果たして、本当にそうしたことが起こるのか。それに対する答えは、数か月後に与えられた。
『以前にも書いたように、自然界の歪みやひずみの多くは残っており、災害はやってくる。
自然界は、人間が損なっている。人びとが、国が、自然を汚している。そのために、災害やウイルスによる試練がやってくるが、ふたたび、プージャやホーマ、ダルマの行為がおまえたちを護る。そのため、しなければならないことを処方した。必要なことを、ときが来れば分かるように処方した』(2023年8月25日 シヴァ神の予言・質問の章)
昨年10月、インド巡礼を目前に控え多忙を極めていた頃、処方箋は突然現れた。
『おまえの国と生徒らの暗闇を取り除くため、以前に約束したものを処方する。これは、おまえの国と世界を災害から護るものだ。おまえの心に巣くう一抹の不安についても、クリアな展望を与えるだろう』(2024年10月8日、Ninaipu Suya Akka Arishta Shanti)
それまでにも幾度となく、大きなパリハーラムがあった。わずか数か月前にも『(おまえの)国と生徒らのための』別のパリハーラムが示されたばかりだった。二回に分けて「葉の礼拝の儀式」を行ない、多くの方が『パリハーラムの傘』に入られた。その皆さんのお名前を吟唱する儀式とチャリティは、インドで粛々と行なわれている最中だ。
今回、それをはるかに上回る総額をシヴァ神がお決めになり、さらに驚いたことに、パリハーラムの中身は私自身が書くようにと記されている。
『書き方は私が教える。“親のような心で”自信を失うことなく、(断食、祈り、瞑想等、事前に行なうさまざまな勤めが終わった)その日から三日のうちにパリハーラムを書きあげなさい。
これを実際に行なうことで災厄を免れ、さらに驚くべきことが起きてくる。新しいことが始まる。クリアな展望、危機に突入しようとしている生徒らにも転機が訪れる……』
これを読んだ予言の読み手は、「こんなことは前例がない……」と言ったまま黙ってしまった。
巡礼旅行に出発する直前、シヴァ神に導かれるまま、私は以下のパリハーラムを書いた。
- 貧しい村びとを聖サバリ山・アイヤッパ神のダルシャンに送る(108人)
- 過去に処方された28種類のホーマすべてを行なう(計310回)
- シヴァ神のご家族の寺院、女神アマン、女神ドゥルガ、女神カーリー、ハヌマン神(それぞれ66カ所)、九つの惑星の神々それぞれの寺院でアビシェーカム、アルチャナを捧げ、ランプに灯を灯し、女神にはシルクのサリー、それぞれ66人以上の貧しい方にお食事と衣類をさしあげる(計339カ所、のべ22,374名以上)
- マレーシアの大ムルガ神像巡礼(9人)
- 家を持てない方のための家の建設(9軒)
- 貧しい男女のための結婚式の挙行(21組)
- 貧しい方への牛の贈呈(108頭)
太古の昔より続くヴェーダ科学は、地上の人びとの意識の在りようが、戦争や疫病と同じく、自然災害をも引き起こすと教えている。どのようなメカニズムでそうなるのか人智では計り知れないが、過去には、たとえばスマトラ島沖大津波の一か月前、『海から押し寄せる災厄のため、準備して救援に来るように』との指示があった。また今回、シヴァ神がこの時期に直接語りかけてくださるのにも深い意味があるはずだ。それを思えば、私はどのようにしてもこれを行なわなければならないと考え、準備を進めてきた。
今回も「葉の礼拝の儀式」は二回に分けて行なわれるが、幸い、昨年12月21日の第一回目のプージャは滞りなく行なうことができた。第二回目は、4月5日(土)に行なう予定で準備を進めている。(ご参列いただける皆さんは、ホームページから早めにご予約いただきたい。
また、前回の数倍の規模となる今回の『パリハーラムの傘』には入れないのかというお問い合わせを何人かの方からいただいた。多くの皆さんには、すでに前回『パリハーラムの傘』に入られ、アフリカの学校のためにもご尽力いただいており、さらに今回のパリハーラムの力も<プレマ倶楽部>全体に及ぶはずだ。
ただ、最新の予言のなかには、心を合せこれを捧げることでより大きな力が結集すると記述されているので、前回同様、特別に『パリハーラムの傘』にお入りいただける皆さんへのご案内もホームページにお載せした。
6月14~22日には、聖山アルナーチャラにて私も与ったことのない史上最大のホーマを行うよう書かれており、時宜を得てそれにお連れするための抽選も行うことになる模様だ。