当り前のことだが、人は一年12カ月のうちの、どこかで生まれている。
そのうち、1月から3月生まれの人は、
わが国では「早生まれ」と呼ばれる。
この人たちは就学時、前年の4月から12月生まれの人たちに組み入れられるので、
本来は「遅生まれ」と呼ばれてもよさそうなものだ。
たとえば小学校入学時、
4月生まれの人が生後83~84カ月を経過しているのに対し、
2月生まれの人間はまだ73~74カ月しか経過していない。
したがって、「早生まれ」と呼ばれるにもかかわらず身長も低いことが多く、
身体能力も、学力においても、
最初から相対的に不利な立場に立たされる。
「年」の区切りが12月末に訪れるのに対し、
「年度」の区切りが3月末に訪れることによる、避けがたい結果であろうが……
そうした現実を私自身、小学校の当初は感じさせられた。
要するに、「早生まれは損」という微かな感覚を心のどこかにしまい込んだまま、
人生の最初の時期を過ごしたことになる。