神聖な物品や護符は、
その役割を終えると消えてなくなることがあるという。
一度、アガスティアの葉のなかに、
『こうしてできた護符は、ときがきたとき、
他の誰も手を触れないケースから、消えてなくなるだろう……』
と予言されていたことがあった。
サイババの物質化したものについても、そんな話をよく聞く。
今回のこの物語も、そのようにして終わるのだと、私は覚悟を決めた。
あらゆるところを、探し尽くした。
スタッフや、周囲の人びとを巻き込みながら、
できるだけのことをした。
最後にこうして儀式を捧げて腕輪の歴史は終わり、
新しい会社の歴史が始まったのだ。
そう思い、執着から解放されようとしたその日……
一人の方からお電話があった。
儀式の際に用いた美しい花々を、お持ち帰りいただいた方の一人だった。
「あの、いただいたお花のなかに、
腕輪があるんです……」
その人は控えめな声で、
しかしたしかにそう言った。