先日、日比谷野外音楽堂で行なわれたベンダ・ビリリ東京公演に行った。
時間のやりくりが難しいと主張する私に対し、
アフリカに関わる者として観ておかなければという、
友人の説得が奏功した。
そしてそれは、大きな成功だった。
会場は総立ちとなり、
私のとなりの、80歳になろうかという老婆もまた、
最後は立ち上がって、
キンシャサの汚れた路地裏から出てきた男たちの音楽に合わせて踊る他なかった。
まさに現代の“奇跡”だ。
同じような奇跡が、われわれが知らないさまざまな場所である。
ヴェーラマニ・ダサンは、南インドの、とある家系に生まれた。
当初、ポップスや軽音楽も手がけ、
映画音楽にも携わった彼が最終的に進んでいったのは……
インドの伝統宗教音楽であった。
神々を讃え、感謝を捧げ、人びとを神に近づけることが、
彼のダルマだったのだ。
毎年聖サバリ山に登る数百万の人びとは、
数十枚のアルバムを出した彼の歌を聞き、
歌いながら登る。
多くの神聖な儀式が、
彼の歌ってきた3500を超える楽曲とともに、
インドで祝われる。