第六回 〜ルルド・ファティマ・リスボン〜 四日目


 この日の早朝ミサに、Aさんをお連れする。この方も、カトリックの洗礼を受けながら、三十年ほどの間、教会から離れておられた。これで、事実上の初聖体が、ツアー中に二件もあったことになる。
 ところで、前回までの旅で一番たくさんあった要望は、もっとルルドに長くいたかったというものだった。実際、そのために、一旦パリに戻りながら、日帰りでルルドに行った方もおられる。その方は、今回もルルドに来て、一泊だけしてすでに日本に帰られた。間違いなく、彼女はこの地に縁の深い方であるに違いない。
 そういうわけで、今回は少し無理をしてでも初日のうちにルルド入りし、まるまる3日間を過ごすことにした。そのお陰で、この日の午前は、ルルド近郊、ベタラムの鍾乳洞を見に行くことができた。
 フランス屈指の鍾乳洞とのことだが、果して掛け声倒れということはないのか……。その不安はまったくの杞憂に終わった。洞窟に足を踏み入れるや、目の前に広がる空間に、皆、溜め息を洩らす。さらにどんどん下に降りていくが、自然の造形、まさにここに極まれり! 添乗員の下江さんは、興奮して冗談を連発する。
 下のほうには池があり、そこを舟で渡る。そうして最後にトロッコに乗り、インディ・ジョーンズ気分を味わって鍾乳洞ツアーが終わった。
 この日、数人の有志が集まり、世界の平和と旅の仲間全員の幸せを祈るロウソクを立てることにした。
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