アッシジの聖フランシスコは洋の東西を問わずあまりに有名であるが、
シエナの聖女カタリナについて知る日本人は少ない。
が、宗教的巨人という意味では聖フランシスコにも劣ることがなく、
シエナとアッシジは北イタリアの二大聖都と呼ばれている。
聖フランシスコ同様、裕福な家庭に生まれたカタリナ(またはカテリーナ)は、
幼いころから見神の体験が始まった。
弱冠7歳のある日、主イエスが現れ、二つの冠を差し出した。
一方の冠は輝く黄金と宝石が散りばめられたもので、他方は茨の冠だった。
どちらを選ぶかと問うイエスに対し、
カタリナはひざまずき、恭しく茨の冠を受け取った。
同時に、自らの純潔を主イエスに捧げることを誓った彼女は、
その後の生涯を深い祈りと瞑想のうちに過ごした。
彼女はまた、当時の教会における政治的混迷を救うという使命を与えられていた。
一介の修道女であったにもかかわらず、
ローマ法王グレゴリウス11世は彼女を頼り、結果、
教皇庁はアビニヨンからローマへと戻されることとなった。
さらに続く対立教皇の時代、その仲裁のため尽力したが、
同時に、その深い内的生活においては聖痕を受け、
しばしばイエスやマリアの訪問を受けたという。
聖体以外のものをほとんど口にすることなく、
貧者や病者のために精力的に働き、
自らは望みどおり、イエスと同じ33歳で没することとなる。
彼女と、聖母マリアとの間の問答については……
今、ここに解説することができない。
旅行中、フィレンツェからシエナに向かうバスのなかで、
これを解説する予定である。
なお、第20回『大いなる生命と心のたび』の締め切りは、
3月5日から12日に変更された模様だ。
現在のお申し込み者は10名超なので、
史上最少催行人数を更新することは確実だ。
和気あいあいとして、かつ充実した旅にしたい。
法悦に浸るカタリナ