12月13日ー1
日本とインドの時差は3時間半ある。
前夜、ホテルの部屋に入ったのは12時過ぎだったが、
皆さんは早くから起きられて朝食。
私は例によって、ギリギリで朝食。
最初に向かうのは十二使徒の一人、聖トマスの丘だ。
聖トマスは、イエスが復活した後も、
「私は主の掌に指を入れ、脇腹に手を入れなければ信じない」
と言ったことで有名な人だ。
3年もイエスと生活をともにし、無数の奇跡を目の前で見てきただろうに、
疑り深い人というのはそうしたものかと思わせる好例で、
もちろん、意図があってイエスは彼を十二使徒に加えたのだろう。
その彼も、聖霊降臨の後は勇敢に布教に携わり、インドにまで渡った。
トマスはこの地で迫害され、洞窟に籠もり、そして水がなくなってきた。
そのとき……
岩を杖で叩くと水が湧き、命を永らえることができたという。
その岩の裂け目を覗き込むと、今もそこに水がたたえられている。
その脇には、聖トマスが自身で刻んだ十字架と、
足跡の残されたといわれる岩。
ちょうど日曜日で、教会でミサが挙げられている時間に、
私たちはこれをゆっくり拝礼することができた。
トマスが密かに彫った十字架