7日目-2
カンチープラム
すべてが神の顕れであり、不可分の一体であるとするいわゆる「不二一元の哲学」は、
インド哲学の精髄であり、究極といえます。
太古の昔、インドに、人生の最初からこの真実に気づいていた少年が現れました。
後に不世出の名をほしいままにすることとなるこの宗教的天才は出家し、
インド全土を放浪しながらこの究極哲学を人びとに説きます。
当然、少年に挑戦してこようという僧侶や学者らも多数いましたが、
そのことごとくを論破し、大聖アディ・シャンカラは三十二年の生涯を閉じました。
亡くなる前、シャンカラは考えました。
不二一元の真理は、人間の五感では知覚できないがゆえに、容易に忘れ去られる。
だから、自らの正統な後継者の座を設けよう。
こうして、シャンカラーチャーリヤ(シャンカラ哲学の師)の位が設けられました。
いわば、キリスト教におけるローマ法王、
チベット仏教におけるダライ・ラマに当たるといえますが、
その哲学の深さや普遍性は、他の追随を許しません。
今回の旅の最後に、インド7大聖地の一つカンチープラムにおいて……
第69世シャンカラーチャーリヤ
シュリ・ジャエンドラ・サラスワティ聖下にお目にかかる予定です。
前回は、残念なことに事前に充分な解説をすることができず、
多数の皆さんとご一緒に狭い部屋に入りましたが、
今回はごく少人数にてうかがうことになります。
この神聖な機会に、
なにかうかがいたいことがあったら直接質問することができるかもしれません。
その後、チェンナイに移動、ホテルで最後の晩餐を楽しんだ後、
空港に向かいます。
第69世シャンカラーチャーリヤ
シュリ・ジャエンドラ・サラスワティ師