4月23、24日
「サイババ様は、コダイカナルにお入りになったようです」
クットララムで幸せな瞬間を得た日、こんな報せが入ってきた。
コダイカナルは、南インドの代表的な避暑地である。
そこには美しい湖があって、傍にはサイババの居室がある。
急遽コダイカナルに向かい、到着した翌日、ちょっとした雨になった。
夜になると雨はさらに激しくなり、電気が消える。
コダイカナル全体が停電したのだ。
そのなかで、日本では見られないような激しい雷が、
夜空を青白く照らしだす。
借りていた小屋を管理するオヤジが、
まるでフランケンシュタイン男爵の執事のような面持ちでロウソクを持ってきたので、
その灯だけでしばらく外の幻想的な様子を眺めていたが、
疲れて、知らない間に眠ってしまっていた。
翌朝3時、ふと目覚めた。
サイババの夢を見ていた。
今回、日本から来た八十数名の人たちを祝福してくださいと言うと、
サイババが大量のヴィブーティを物質化した夢だった。
私は正直、普段から夢を覚えていない。
『理性のゆらぎ』を書いたのが1993年、
その前からサイババのことを知っているので、もう20年以上になるが、
その間、サイババの夢を見た覚えもほとんどない。
だが、このときの夢はリアルに覚えていたので……
私はむくりと起き出すと、残っていたロウソクに灯をともし、
手紙を書き始めた。
だがこの日の午後には、コダイカナルを発たねばならない。
手紙を書いても、渡せる機会は一度しかない。
この日、私は午前4時からダルシャンの列に並んだ。
避暑地コダイカナルの朝は寒い