『バガヴァッド・ギーター』は、
長大な『マハーバーラタ』のなかの一場面に過ぎない。
開戦を目前にしたわずかな時間に、
クリシュナとアルジュナ二人だけの間に交わされた会話であるが、
それは普遍の、「東洋の聖書」として知られている。
すでに両軍に数百万の兵が対峙した状態で、
いったいどのようにしてあれだけの会話が交わされたのか、
われわれが通常の理性で考えたり、想像したりすることはできない。
神としてのクリシュナと、
神々の王インドラの化身としてのアルジュナの意識の間で、
瞬時に交わされた「何か」なのかもしれない。
とはいえ、「わたしはもう、戦わない」と言ってアルジュナが武器を棄て、
戦車に座り込んだり、
それに対してクリシュナが微笑みかけたりするのであるから、
ある程度の動きと言葉が交わされたこともまた、間違いない。
5月31日に行なった恒例大クイズ大会のなかで、
この場面を問う問題があって、ただお一方だけが見事に正解されたが、
開戦直前という緊迫した場面で、
しかも武人としての力と名誉のすべてをかけて苦悩するアルジュナに対し、
最初に微笑みかけたというクリシュナのクールさが、しびれるところだ。
あの日クリシュナ問題を選択された皆さんは、
こういうところに心奪われたのかもしれない。
ところで、全18章になんなんとするその聖典のなかでも、
クリシュナの言葉のもっとも凝縮されたのが、第二章である。
『バガヴァッド・ギーター』のハートともいわれるこの章で、
ヨーガとサーンキヤの精髄が語られる。
そのもっとも重要な章が、いよいよ最後の10節ほどにさしかかった。
ここで、『ギーター』のハート第二章の、
さらにそのハートの部分が説かれるので、4日の<木曜くらぶ>で解説する。
また、先日、私が一人でインドに残った部分の写真の解説については……
同じく4日に行なうことを予定している。
質問の具合などによっても進行状況が左右されるかもしれないが……
いずれにしても、サイババのところでいただいてきた神聖灰ヴィブーティと、
プラサーダムのお菓子は、
皆さまにお持ち帰りいただきたいと思っている。