日本のカトリック教会史上、初めてのことが本日の正午、行なわれる。
江戸幕府の弾圧で殉教したペトロ岐部以下、
188人が「福者」に列せられるのである。
福者とは、カトリックにおいては「聖人」に次ぐ尊崇の対象で、
たとえばマザー・テレサは福者である
(したがって、カトリック教会においては、
マザー・テレサを聖女と呼ぶことは、現時点では「間違い」とされる)。
過去にも、長崎で殉教した26聖人の列福、列聖はあったが、
日本国内で列福式が行なわれるのは初めてのことだ。
しかも、これだけの数の殉教者らが、同時に福者の位に上がる。
日本史の授業で習ったように、日本にキリスト教が入ってきたのは1549年。
フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸した。
その日は8月15日で、聖母被昇天の祝日だった。
長い航海を経て日本に上陸した彼らは、果たして日付を正確に知っていて、
その日が聖母の祝日であることを知っていたであろうか。
それはともかく、おそらくザビエルらは、日本の蒸し暑さに驚き、
または苦しんだことであろう。
学者の推計によれば……
その後の半世紀間で、
日本人の1〜2%がキリスト教に改宗したのではないかともいわれている。
それほど、日本人はこの“新しい”宗教を素早く、かつ深く理解した。
だが、外国から来たまったく新しい宗教がそのように急速に広まったとき、
為政者の側はこれにさぞ脅威を感じたことであろう。
実際、キリスト教は禁令となり、後に長く、忌まわしい殉教の歴史が続く。
それから400年が経って、今日、そのときに殉教した188人が福者となる。