7月11日-4
シャンカラーチャーリヤ聖下から皆、聖なる菩提樹の実をいただき、
われわれはその場を後にした。
予定を大きく遅れている。早く昼食を済ませ、
チェンナイに向かわなければならない。
それなのに、社務所の関係者はなんと、
次期シャンカラーチャーリヤがお待ちであるとわれわれに告げた。
すでに決まっている第70世シャンカラーチャーリヤ聖下である。
第70世シャンカラーチャーリヤ聖下は、
私に一冊の小冊子を渡され、どこでもいいので読んでみるように言われた。
難しいサンスクリットの名前が並んでいるところを読むと、
今度はどこでも日本語に訳すよう言われた。
「盗人とは誰か?」
「感覚の対象がそうです」
「敵とは誰か?」
「愚かさのみが」
「ほかの何よりも有益なものは?」
「それは正義……」
それは、大聖シャンカラによる問答集であった。
聖下は私を奥の部屋に導くと、なんと……
次代シャンカラーチャーリア聖下
この本を日本語に訳し、出版するよう促された。
なんという光栄なことだろう。
私は恭しくこれを拝諾し、
しかし今はもう行かなければならないと申し上げた。
そうして、ふたたび必ずお目にかかりに来ることを誓い、その場を辞した。