日本の松坂大輔について、彼が甲子園で活躍していた時代から、
レッドソックスとヤンキースのスカウトが注目していたといわれる。
2006年オフ、ポスティング・システムでの大リーグ移籍を表明した松坂に、
両球団とも強い関心を示した。
すでに松井秀喜が在籍し、かつ資金量からしてヤンキースが有利といわれたが、
レッドソックスは移籍金として
破格の5111万1111ドル11セント(約60億円)を提示、
その後の年俸交渉でも6年総額61億円でトレードが成立した。
しかし実は、高校野球においてはあれほど輝かしい実績を残した松坂も、
プロ転向後には公式戦、
および二度にわたるオリンピックで優勝から遠ざかり、
これを一部では「大輔の呪い」と呼ばれていた。
ところが、2006年春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、
日本は予選で韓国に二敗しながら、決勝では勝ち、
奇跡的な優勝を遂げる。松坂はMVPに。
「大輔の呪い」が解けた翌年の2007年、
松坂が加入したレッドソックスは3年ぶりにワールドシリーズに進出、
これを制することとなる。
ここに「新・バンビーノの呪い」もまた、解けることとなった。
松坂獲得にレッドソックスが使った金額は約120億円であるが、
その後の松坂の活躍、グッズの販売、日本からのツアー観戦、
放映権料等により、十分にペイしているといわれる。
その上、「新・バンビーノの呪い」も解け、
今年、松坂は自己最多の18勝を記録、
地区シリーズに向かう。
それにしてもこの金額は……
ベーブ・ルース移籍の際にレッドソックスが手にした金額の約1000倍。
ならばもともと、ベーブ・ルースをトレードに出さなければよかったのに、
などと思うが、仕方がない。
もしそうなっていたら、
大リーグの歴史はまったく違ったものになっていたはずで、
イチローや松井、松坂が移籍した球団もまた、違っていたに違いない。