五輪 6


(五輪5より続く)しかし、私にとってより興味深かったのは、
もう一組のスエマエといわれるペアのほうだ。
世界ランキング一位のペアを敵地中国で撃破し、
感激に浸るその姿は、普通とは少しだけ違って異様だった。
コートに倒れ込んだ前田選手は、一人でかがみ込み、泣いている。
末綱選手も、一人でコートを叩きながら泣き始めた。
通常、団体競技においては、泣くときには抱き合って泣くシーンが多いし、
まして二人で苦しみを分かち合ってきたやってきたペア競技ならなおさらだ。
シンクロでも、ソフトでも、
もしあの人びとが一人ひとり別々に泣き始めたら、
いったい何があったのだろうと思ってしまうだろう。
そこを二人別々に泣いているこのペアはいったい何者? と思っていたが、
マスコミ報道によれば、要するに二人の仲は“微妙”なのだという。
意見も、感性もあわず、いわばいつも反目しあっている。
コートに立っても、目も合わさないことがある。
そう言われてあらためて見てみると、
年上の末綱選手は意地悪そうに見え、
年下の前田選手のほうも負けてないように見える。
(実際どうなのかは、もちろん分からないが……)
それでも彼女らは、世界の強豪を破り、4位になった。
そのような二人だったからこそ、
ここぞという場面で爆発できたのか、
あるいは、もしこの二人の仲がよければ、
さらに上にまで行けたのか……。
それを知る術はわれわれにはない。
ところで、スカーレットさん……


最高水準の体操競技を目の前でご覧になって、よかったですね。
私も、中学一年の夏休み、中国地方の社会人大会を福山市体育館で見てしまい、
体操部に入ることを決めました。
あのとき、あれを見ていなければ、卓球部に入っていたかもしれないし、
剣道部に入ったかもしれません。
その場合、人生は相当違ったものになっていたに違いありません。
いずれにしても、華やかなオリンピックの陰には、
出られなかった、より多くの選手の涙と、
今回の場合は、多数の中国人民の血の涙が流されたことも
忘れてはいけないですね。


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