12/ 4(6日目)その3
ガイドのフランス人女性は、
アルスの聖者について一生懸命説明しようとしてくれたが、
しかし英語が得意ではないらしく、なかなかうまくいかない。
そこへ、一人の神父が現れた。
見るからにサトウィック(清浄)な感じのこの神父は、
流暢な英語で、ガイドとはレベルの違う説明を始めてくれた。
もともと村は、司祭に居ついてほしいがあまり、
豪華な司祭館を用意してヴィアンネを迎えようとした。
しかし聖者は、立派な家具・調度品を売り払い、
貧しい人びとに施してしまった。
こうして藁の上に寝るようになった聖者は、
後には贈られたベッドを使うようになったが、
そのベッドと傍らの靴、聖者の使った部屋を、われわれは見ることができる。
聖者はまた、驚くほど粗食で、
近くでとれた芋をふかし、それを一週間も続けて食べたという。
また、一日に十数時間も座って人びとの告解を聞いたというその椅子も、
神父が説明してくれた。
旅をふり返って……
過去の巡礼の旅もそうでしたが、
困っていると必ず、助けてくれる人が現れるのです。
アルスで突然登場した司祭もまた、そういう人の一人でした。
アルスの聖司祭Jr.