『禍福はあざなえる縄のごとし』と、古の日本人は言った。
そうなのだろう。
そうであるに違いない。
しかしそうであったとしても、
今回、楽しみにしておられた皆さんの気持ちを思うと胸が痛い。
本来なら明日出発、明後日には、
あの天上的なルルドの泉に皆さんは浸かっていた。
南フランスの古寺たちの「奇跡の聖母子像」の前で瞑想し、
または自分自身が奇跡を体験するはずだった。
腐敗しなかった聖女のお姿の前に、
時間を気にせず、いることができたはずだ。
そのために皆さんが準備されてきたことのすべては……
充分に報われてなお、余りあるはずだった。
それを思うと心が痛み、お詫びのしようもないが、
しかしそれでも、私のような鈍感な者にでも、
今回のことにはなにか意味があって、
よりよい続きが待っているように思えてしまうのはどうしたことか……。