そのようなことで、私はたまに健一氏に手紙を書くようになり、
するとお忙しいであろうに、氏は必ずお返事をくださるのである。
なので、この学会の件は、甘えであるとは思ったが、
ままよ、相談してしまえっ! という気になったのだった。
お手紙を書いて、そろそろ着いたかと思われたようなとき、
自宅に帰ってみると、留守番電話が点灯していた。
「再生」にしてみると、なかから聞こえてきたのは……
いつも番組で聞いている竹村健一の声だった。
あのままの抑揚、あのままのアクセントである。
「興味深いので、是非話しにきてほしい」というのが、
その内容であった。