ゴッドファーザー Part II


 代父になると言ってはいけなかった理由の一つは、健康だった。本当に、24日夜のミサに出席できるのか。
 24日は、朝からじっとしていた。意志の力で熱をコントロールできるようなヨーギならよかったが……。しかしそれでも、僕はじっと様子を見ていた。
 午後5時。タイムリミット近くになって(行ける……)と思った。そうしてそそくさと支度をし、クリスマスの洗礼式に臨んだ。
 サレジオ会が運営している調布教会には、日本で半世紀以上、宣教に務められたチマッチ神父の柩が置かれている。今年、その柩の拝礼に行ったとき案内してくれたフランス人司祭が、今回、Sさんに洗礼を授けるという。まったくの偶然で、彼女はその司祭のもとでカトリックを学んでいたのだ。
 この日、Sさんはびっくりするほど普通の服装で現れた。しかし、彼女の魂は、洗礼の水で洗い清められた。洗礼名はベルナデッタ。去年の夏、われわれがルルドで祈りを捧げた聖女だ。腐敗をまぬがれた彼女の美しい遺体を見たときから、Sさんは、この洗礼名を心に決めていたらしい。


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