ルルドの楽しみシリーズとして、個人的に忘れられないのは、
さまざまな種類の聖母像を見られることだ。
ルルドは、今も豊富な水量を誇り、奇跡も起き続けていて、
聖地として大きくなり続けている。
世界中から巡礼にやってくる人びとが泊まるためのホテルも必要だし、
巨大な慈善病院も建てられた。
そして、その人たちのための物産店やレストランも、
多数立ち並ぶこととなった。
これらの“産業”を単純に好まないと感じる、
真面目な信者さんたちもおられるかもしれない。
が、聖域のなかにそうしたものは決して入り込まないし、
私個人としては悪いことのようには思えない。
なにしろ、あれだけの種類のマリア像を心ゆくまで見られるのは、
ルルドがおそらく世界一ではないかと思うからだ。
こうして、5年続けて聖母像を探求し続けた私は、
いつしか聖母像評論家と呼ばれるようになった。
ルルドに行くことになって、どのような聖母像を買うか迷われたなら、
どうか私に相談していただきたいが、
その基本はやはり……
“出会い”といえるだろうか。
必ずしもそのために多くの時間を費やす必要はなく、
巡礼に没頭していればよいのだが、
そうしているうち、ふとしたことで、
自分を呼んでくれる、
自分の部屋に来ることが運命づけられていた、
そんなマリア様に出会えるものだ。