<プレマ通信>かわら版で紹介したチャリティ・コンサートは、3月22日に行なわれた。
たくさんの善意の皆さんのおかげでチケットは完売で、山本さん、田中さんのご好意により、<プレマ倶楽部>分を特別に確保していただくというふうだった。
もとより多忙な大木神父は、しかし他の仕事もあったので、ある篤志家の方がお金を出されて急遽、帰国の運びとなった。
当日、数年ぶりにお目にかかったところ……
「ああ、(お宅様は)どちらの方でしたか……??」などと、相変わらずの口ぶりなのであった。
80歳をとうに過ぎた神父は、しかし背筋もピシリと伸び、コンサートの間も姿勢を崩されない。それに対し、倉光先生は両脚を前に投げ出すようにしてくつろがれた様子であったのが、微笑ましかった。
コンサートの後半は、さる高名なスペイン人ピアニストによるピアノソロであったが、一曲ごとに席を立ち、拍手に応えている。
「あれ、いちいち立たないといけないんですか……」
小声でそう言うと、神父は倉光先生と顔を見合せ、クスクス笑ったのだった。