ファティマで昼食をいただいていると、ひょっこりQさんが現れた。唖然とするほど突然で、思わず拍手が沸いた。
それにしてもよく、ポルトガル語しか話されないこの国で一人リスボンまで行き、渡航証明をもらって帰ってきた。困難な旅から帰還した娘を迎える父親というのは、こういう気持ちなのだろうか。
聖地においては、まずご出現の場所に行く。かつては無骨な丘だったこの場所に、今は小さな礼拝堂が設けられ、美しい聖母像が安置されている。
かつてヴァチカン広場で狙撃されたローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、聖母がその手で弾道をそらせてくれたおかげで死を免れることができたと言った。法王は、この日がファティマのご出現の記念日であったことは偶然でなかったとし、自らの体から取り出された銃弾を聖母に捧げた。その聖母像を拝礼し、日本からお持ちした手紙をすぐ下の箱に入れる。
さらに、フランシスコとヤシンタ、そして今年2月13日からルチアの眠る柩のある大聖堂を巡礼した後、彼らの生家を訪ねることができた。フランシスコの生家ではフランシスコの甥に当たる方が、ルチアの生家ではルチアの姪に当たる方がわれわれを出迎え、彼らの使った部屋や生活の跡を見せてくれた。
この日、聖地ファティマは嵐だった。傘をさしていても、骨があっという間に曲がってしまう。ガイドさんに聞いても、こういう天候は珍しいという。
浄化の嵐か……。だが、それでもよかった。全員でファティマに来られたのだ。
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浄化の嵐の跡