判定 5


果たして亀田自身は、そして亀田をここまで育ててきた「美談」の主である父親は、こうした事情をどのように捉え、感じているのであろうか。
判定結果がアナウンスされたときの、あの父親のポカンとした表情からして、たとえ何かがあったとしても、彼ら自身は多くを知らないようにも見える。だが、彼らもボクシングという名のビジネスに身を投じた人間である以上、このようなボクシング界や所属ジムの実情について何も知りませんでした、というわけではないだろう。
だからもう少し神妙にしていればいいのに、との声とは裏腹に、亀田は試合後も不遜な物言いを繰り返している。
日本人には古来、戦いの相手であってもこれを最大限尊重することや、まして戦いが終われば互いに健闘を讃えあうという美徳があった。
そうした美徳よりも、人びとの目耳を惹きつけるパフォーマンスで視聴率を稼ぐことのほうに、彼らの戦略は向いているように見える。亀田自身は本来、礼儀正しい青年であるといわれ、親孝行であるようにも見えるだけに、そのことは素直に残念だと私は思う。


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