転機 3


世界が決勝トーナメントに沸く間に、日本のスポーツ界では、中田英寿が引退を表明し、王貞治がガンを告白した。前者については、メルマガのなかで私なりの感想を書いたが、中田ファンには納得し難いものだったかもしれない。
後者は、スポーツ界で私の最も尊敬する人物だけに、残念でならない。日本球界における史上最強打者というだけでなく、人格者として名高く、なおかつ定期検診を欠かさなかったというこの人にして、ガンの病魔は忍び寄る。それほど、あの職業もまた、精神的ストレスが大きいのだろうか。それとも、われわれの住む環境のガン因子が大きいのだろうか。
松井秀樹が怪我をしたときにも、同じようなことを感じた。
松井は驚異的な青年だ。甲子園で、前代未聞の5打席連続敬遠をされたからではない。ヤンキースのレギュラーに定着し、4年で62億という年俸をもらうからではない。
そうではなくて、中学二年のときから一度も人の悪口を言ったことがないこの青年は、真の意味で驚異的だ。
才能、努力、そして人格のすべてを備えた松井にして、運命のちょっとした気まぐれは、ひとシーズンをすっかり棒に振るような怪我を引き起こさせる。人生はそうしたものだ。


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