午前中に巡礼した聖セルナン・バジリカは、フランス屈指のロマネスク聖堂として知られる。だが、この日のハイライトは、何といってもドミニコ会最古の修道院として有名なジャコバン修道院。あの聖トマス・アクィナスが、祈りのなかで、壮大な神学を生み出した場所だ。その思索は、千数百年になんなんとするキリスト教神学の集大成『神学大全』として実を結んだ。
神学者としての名声をほしいままにしたトマスは、しかし晩年、ミサをあげている際中に“神を見る”。そうして後、『大全』の執筆をぷつりとやめ、ふたたび筆をとることはなかった。継続を促す周囲には、こう語ったといわれている。
「私の見たものに比べれば、この神学はわら屑のようだ」
昼食後、バスはいよいよルルドへ。しかし残念ながら、ルルドは厚い雨雲に覆われていた。
「(添乗員の)下江さん、何とかして!」の声に、下江さん、思わず「アーメン」とつぶやく。そのお陰かどうかは分からないが、夕方のロウソク行列の前に雨は上がった。比較的人出は少なかったが、お陰で何人かの方は、ルルドのマリア像に直接触らせていただくという幸運に恵まれた。
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聖人の墓/ジャコバン修道院