『その光芒を包むかのように、霞のようなものが祭壇のまわりに漂っていました。そして、祭壇を囲んで無数の、……人間ではないけれどもはっきりと礼拝の姿勢を見せている、たくさんの霊的な姿が現れ、一斉に御聖体のほうに向かって礼拝していました』
カトリック教会では、ミサの間に聖変化したパンは、正真正銘、イエスの体になると信じられている。それをイエスご自身として礼拝することを、「聖体礼拝」という。
パンといっても、それはペラペラのウエハースである。われわれには当然、ウエハース以外のものには見えないのだが、シスター笹川は聖体の前にいると、その場を退くことがいつも惜しくてならなくなるという。
聖体が光輝き、周りに天使の姿が見えることもさることながら、そちらのほうがむしろ奇跡的である。
聖体の周りが光輝いたこのとき、笹川は、あまりの眩しさに目を開けていられなかった。幻覚を見ていたのではないか、頭が変になったのではないか、他のシスターたちには見えているのか……と自問しても、答えはまったく得られなかった。
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聖堂内の聖櫃