スリ・ランカで絶対に見逃せない遺跡を一つだけ挙げろと言われれば、やはり仏歯寺だ。
美しい湖畔にあるこの寺は、紀元前6世紀に仏陀が入滅後、これを火葬した際に採取された歯を祀ったことで世界的に有名になった。当然、そこに至るには数奇な変遷があっただろうが、今はこの寺で日々、仏教僧らの拝礼を受けている。
その前にわれわれは、午前、午後と入れ代わりでアーユルヴェーダのマッサージを堪能し、古都キャンディを観光した。
夜になって、キャンディに伝わる踊りを見学。きらびやかな衣装と軽快、壮麗な踊りの後は、いよいよ火渡りの業へ。業場へは赤々と燃える炭が敷きつめられ、その熱で顔が火照る。(この上を、本当に歩くのか……)そう思っていると、再登場した男性の踊り手たちは、躊躇うことなく火の上へ降り立った。
その昔、スリ・ランカの魔王に囚われの身となったシーター姫は、救出された後、人びとから貞操を問われる。疑いを晴らすため、姫は目の前にあった火のなかに入っていったが、純潔な彼女を火は優しく包んだという(ラーマーヤナ)。そのことにちなんだ業だというが……圧巻。
興奮さめやらぬわれわれは、そのまま仏歯寺へ。一般の巡礼者は遠くのほうから一瞬だけ拝むことのできるそれを、われわれは部屋の中まで案内されて拝礼した。思わず、神聖な波動に呑み込まれる。
(クリックで画像拡大)
ヤシの葉に書かれた経典