改革 6


かつて中曽根康弘が苦心惨憺の末、国鉄民営化を行なったときも、反対者たちは言ったものだ。
国鉄が分割・民営化などされたら、東京から大阪へ行くのに切符を3枚買うようになるんですよ、そんなことになっていいんですかと。つまり、JR東日本とJR東海、JR西日本のそれぞれで、切符を買わなければならなくなると言ったのである。もちろん、実際にはそうはならないことなど、彼ら自身がよく知っていた。
そのような困難を克服しながら、中曽根康弘は国鉄民営化に成功し、電電公社も民営化した。われわれはその結果を今日、当たり前のように享受しているが、この二つの改革のおかげでこの国がどれほどの恩恵を被ったか知れない。
今回、参院での採決を控え、その息子である中曽根弘文の行動が焦点となっていた。父親が行政改革を行なう労苦を傍で見ていた彼は、最終的には、郵政に理解を示すだろうという観測もあったが、昨日、その期待は露と消えた。
塗炭の苦しみを舐めつつも国鉄と電電公社を民営化した政治家の息子が、今度は郵政改革を逆に潰すという役割を演じつつある。
小泉純一郎が中曽根康弘を政界から引退させたことが一因ではないかともいわれ、人間模様の綾を浮き彫りにもするが、これがどう理解されるかといえば、早速、円も、株も売られた。
小泉政権下での構造改革をそれなりに評価し、郵政改革が日本に及ぼす好影響も分かっている市場は、これができないような国には大きな価値は認められないとして日本売りに出たことになるが、やむを得ない、というよりは当然というほかない。


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