津波 2


海岸線の近くには、雑木林が今もある。その辺りの砂浜を掘って、何百という遺体が埋められた。
「この林の辺りで見つかった遺体は、みな女だった」
男性は水に流されたが、女性は長い髪の毛が木の枝に引っかかり、そのまま溺死したという。女たちが死んだ雑木林から見る海岸は、今はもう、静かだった。
村の“メインストリート”に立ってみると、見渡す限りの荒野が続いていた。ここに、つい半年前までは民家と商店がぎっしり立っていたのだと女は言って、泣いた。女の娘は夫を亡くし、一家の働き手を亡くした。女たちは、たまたまコンクリート造りの家の二階に昇って難を逃れたが、水は二階の床下まで来たという。
政府は、家を流された住民のために仮設住宅を造っている。が、一つの仮設で話を聞き、何かをすると、今度は別の仮設に住んでいる人がそれを聞きつけてやって来る。自分たちも何とかしてくれ、不公平じゃないかと……。
050623-1

被害を語る人びと
050623-2

村のメインストリート


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