昨年のあるとき、突然瞑想を習いに来た彼は、過酷な労働条件のもと、それでも瞑想は続けているというから、私は内心、敬服している。
「最近、なんだか瞑想していると体がピリピリ痺れたような感じがすることがあるんだけど……」
と彼は言う。
「不快ですか??」
「いや、それがすこぶる心地いい」
瞑想によって意識が精妙なレベルに入っていくと、体もまた、それに応じて精妙になっていく。
それは、体を構成する物質が精妙になっていると表現することもできるし、われわれの肉体と同時に存在する「より精妙な体」がリアリティを増してきている、といったほうが適切かもしれない。
たとえば、16世紀に生きたアヴィラの聖テレジアは、法悦状態に入ったとき、しばしば体が宙に浮くことがあった。彼女自身はこれを最初は幻覚と思い、自分が特別であることを頑に拒否したという。
しかしそれでも、彼女は多くの他の修道女の前で、ときには指導司祭の前で体を宙に浮かせた。聖女はなお、これを恥ずべきことと思い、なんとか体を浮かせないよう努力したが、無駄だった。
青山圭秀
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