ヨハネの他に多い法王名を挙げると、たとえば「イノセント」という人が13人いる。
そのうち、最もよく知られているのはイノセント3世である。彼は1209年、アッシジの聖フランシスコの来訪を受け、謁見を与えたことで、逆に歴史に名を留めることとなった。
映画『ブラザーサン・シスタームーン』ではなかなか精悍に描かれているこの法王は、しかし、調べてみると奇妙な経歴の持ち主だ。法王に選出されたのは弱冠37歳前後であったとされるが、そのとき、彼はいまだ司祭ですらなかった。しかし枢機卿ではあったとされる。
ローマ・カトリックにおけるヒエラルキー(身分階層)が、おおむね、信徒・司祭・司教・大司教・枢機卿・法王といった順であることを考えると、かなり不可思議なことのようには思えるが、かつてはこうしたことがどのようにしてか可能だったらしい。
ちなみに1209年、イノセント3世が聖フランシスコに謁見を与えたサン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ大聖堂と、これを記念する聖者の銅像は、今回の第10回『大いなる生命と心のたび』二日目に巡礼する。
聖フランシスコに謁見を与える
法王イノセント3世
(ジオット画・ルーブル美術館)