昨年6月、ポルトガル・ポルトの空港に降り立ち、市内に入ろうとしたとき、近づいてきたボランティア団体のメンバーから小さな“プレゼント”を渡された。避妊具であった。
ポルトガルはカトリック教国であるが、カトリックの教義が避妊を正しくないとしていることを考えると、そこに現代の矛盾の一端を見ることができる。
カトリックの教義においては、避妊は、「楽しみを享受しながらそれに伴う責任を回避する行為」として位置づけられる。したがって、それは神の摂理に反するとされる。
ところが現実には、避妊具の使用によって蔓延を抑えられる疾病がある。たとえばそれにより、HIVに感染し、亡くなる人を減らすことができる。こうして、人びとの体の健康を守ろうとする医師たちは避妊具の使用を呼びかけ、霊の救済を叫ぶ教会はその使用を認めない、という現象がおきた。
亡くなったヨハネ・パウロ2世は、教義面では超保守的だったと評価される。避妊、中絶、司祭の結婚、女性司祭等々、もっての他だ。そうして、側近と官僚組織も保守派で固めた。その前法王最大の側近が、ヨーゼフ・ラッツィンガーだった。
青山圭秀
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