今日は「13日の金曜日」。ローマ・カトリックの暦のなかでは、今日がキリスト受難の日である。13日の金曜日だからではない。移動祝日である復活祭が今年はたまたま4月15日に当たり、その二日前である受難の金曜日が13日となったのである。
およそ二千年前のこの日、この上なく清らかで柔和な一人の青年が十字架に架けられた。直接の死因は、出血多量でも激痛によるショック死でもなく、窒息死であったろうといわれている。両手を釘付けにされた姿勢では、呼吸ができなくなるのである。これが当時、重罪人に課せられた最高刑であった。
ところが奇妙なことに、この悲しい日は、英語ではGood Friday (良き金曜日)と呼ばれる。イエスが十字架上で人類の罪を償ってくれたからこそ、救いがもたらされた。おかげでわれわれが天国に行くことが可能となった、という意味である。
一人の神人が巨大な犠牲を払うことで、世界が浄められた。しかしそれでも、われわれ一人ひとりは未だ浄化しきれない業を背負って、歩み続けている。世紀が変わっても、次の千年期が来ても、それは変わらぬ事実であるに違いない
青山圭秀
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