一時間後、会場は国立体育館から京王プラザに移されていた。すべての日程を終えた打ち上げパーティー。そのなごやかな席で、私の心は、いまだ決勝で下された判定にあった。
負けた大西に挙げた副審をつかまえ、失礼を顧みず、私は聞いた。
「師範は、どちらが本当は勝ったと思われますか?」
すると彼は、躊躇うことなく、「大西の勝ちでした」と言った。
「結局のところ、松本の技のキレと、大西の力の勝負だったんです。その二つを比べたとき、私には、大西の攻撃が勝っていたと感じられました。攻撃の重さが違いました」
その自信の前に、松本の勝ちと思っていた私の確信は大いに揺らいだ。……が、実際には、判定は松本に挙がったのだ。
準優勝・大西選手の拳
優勝した松本選手の脚