午前8時半、一行はついに、サン・ピエトロ・イン・ヴァティカーノ、すなわちサンピエトロ大聖堂の前に立った。21世紀最初の謁見のため、世界中からの巡礼者で広場はみるみる一杯になる。
午前10時、定刻に、第264代ローマ法王ヨハネ・パウロ二世がお出ましになった。オープンカーに乗って、ゆっくりとサンピエトロ広場を回られる。幸いにして何人かは、最前列でローマ法王を拝礼することができた。その距離、わずかに1メートル。カトリック信者でなくとも、緊張と感動の瞬間だった。
午後は、まずヴァチカン博物館を見学。ラファエロの『キリストの変容』、ミケランジェロの『最後の審判』『アダムの創造』『楽園追放』等で溜め息。そうして、博物館からサンピエトロ大聖堂に、待ち時間なしで移動することができた。四つ目、ヴァチカンの聖なる扉を通って、大聖年の巡礼を完成。ふと下界を見渡せば、聖なる扉をくぐろうという長いながい市民の行列ができている。その末尾は、どこにあるのか見えない。この日中に全員が入れるかどうかと、事もなげに言うガイド。
大聖堂は、入ってすぐ右側にミケランジェロの『ピエタ(嘆きの聖母)』像がある。続いて、右足に触れば幸福がやって来るという聖ペトロの青い彫像、そうして主祭壇の下には聖ペトロの墓。その場所に降りていくと、周りには、20年ほど前、在位わずか33日で亡くなったヨハネ・パウロ一世や、第二ヴァチカン公会議を招集したヨハネ二三世、第二次大戦中、ナチスの暴虐を黙認したとして論争の的となったピオ十一世の柩もある。突然、歴史に埋没する瞬間……。
ヴァチカンを出た後、下江さんの引率で希望者はローマの高級ブティック街へ行き、テルミニ駅内のレストランでイタリアン・バイキングを楽しむ。
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ヴァティカンの小路で
記念撮影