第七回 〜タイ バンコク・カンチャナブリ〜 一日目


 思えば、最初の『大いなる生命と心のたび』は中国で、第二回はバリだった。その後、ルルドを始めとしたヨーロッパの聖地に行くようになり、すっかりはまってしまった私は、アジアの旅のことを忘れていた。が、それを思い出させてくれたのがタイだった。繰り返しになるが……
 昨年(02年)、国連主催で行なわれた世界宗教者・精神指導者平和サミットで、祝辞を述べたタイ国皇太子が、壇上から降りると、まず仏教の大僧正の前にひざまずき、祝福を受けた後に退場していかれた。インドでも、首相や大統領は精神的指導者の前には深く額ずくが、一般のインド人はあまりにしばしば礼儀知らずで愕然とする。それに比べてこの国では、報道カメラマンですらシャッターを切るたびにお辞儀をし、話しかけてくる僧侶は笑顔を絶やさない……。もちろん、一つの国にはさまざまな面があるだろうが、とにかくいつか、読者の皆さんと一緒に来てみたいと本気で思うようになったのだった。
 着いたこの日、きらびやかな古典舞踊を見ながらの夕食のメインはグリーンカレー。カレーなのだが、味が緑色……とでも表現しようか。美味しすぎてきれいに食べてしまった、という人と、スパイスが効きすぎてあまり食べられなかったという人の二手に別れる。
 食後、疲れた方はお休みに。まだまだという方は、ホテル横のマッサージ屋を訪ねる。タイ古式マッサージは全身二時間で約800円、フットマッサージは一時間で同料金。聞くと、足のほうが、マッサージに体力を要するからだという。
 ホテルの部屋にマッサージ師を呼んだ人もいた。値段は二〜三倍になるが、それでも日本に比べれば、まだ何分の一かだ。


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