ルルドで聖母と会ったベルナデッタの眠るヌヴェールへ。ここが、当時、持参金なしの貧しい娘を受け入れてくれた唯一の修道院だったのだ。
前回感動した美しいミサは、今回は朝10時開始とのこと。これに間に合わせようと、バスは朝6時半に出発する。
8時頃、やっと空が白み始め、カトリックのミサについて説明をする私の後ろから20世紀最後の日の出。皆さん、私の話よりも、美しい朝もやとフランスの田園風景を照らし出す太陽に気をとられている様子。
ミサ開始5分前に到着すると、前回もお会いしたシスター二宮が、祭壇横に特別席を用意してくれていた。今年最後のミサ。あの美しい歌声の司祭が、ふたたび、「オハヨウゴザイマス」とわれわれを迎えてくれた。
ミサ後、シスターに院内を案内してもらい、昼食。その後、特別に聖堂を開けていただいて、聖女のご遺体を拝礼。普段は許されていない写真撮影も、許可していただく。
「ここで修道生活を送っていて、毎日が感謝の連続です」
とおっしゃる通り、シスターは慎ましやかで、表情には歓びが隠せない。
「20世紀最後の日をここでこうして皆さんと過ごせたのは、神様のお恵みでした」
そう言われるシスターの笑顔に、皆、聖女のご遺体と同じくらい感動して、ヌヴェールを辞する。
時計が午後4時を指すと、日本は新年。その瞬間、バスの中からは思わず拍手が。これからの八時間は、日本の人たちは21世紀、自分たちはまだ20世紀にいるという、奇妙な時間帯。最寄りの休憩所に止まってもらい、みな日本に電話する。
この日の夕食は、ホテル内で大晦日の特別バイキング。前菜だけで満腹になる豪華さに驚くが、みな頑張ってスープ、メイン、デザートまでを食べきる。ワイン、その他も飲み放題。ホールでは音楽が始まり、何人かは、その中でしばし踊りを楽しんだ。
年越しイベントはコンコルド広場で行なわれるが、地下鉄は、パリ市の粋な計らいでタダ。希望者は、下江さんに連れられ、その地下鉄で会場へと向かう。大観覧車と、4000年の歴史を誇るオベリスクがライトアップされ、2001年宇宙の旅のテーマが鳴り響く中でカウントダウン。あと10秒……3、2、1……!!!。21世紀を迎えた瞬間、花火と爆竹、シャンペン、そして、熱い抱擁……。
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聖女ベルナデッタの着られた衣服も靴も、
まるで子供用のように小さかった