共同祈願のとき、僕が神さまに向けて発した言葉。
『今日、結ばれた二人と、そして私たちすべてが、互いに愛しあうことで、愛であるあなたと一つになることができますように……』
しかし、何日も前から用意していたのは、実は次のような祈りだった。
『人は、互いに愛しあうとき、自分たちがもともと一つであったという真実に気づき、 それゆえ、喜びに震えます。今日結ばれた二人と、そして私たちすべてが、この真理のうちに生きることができますように』
小説『最後の奇跡』のテーマでもあった究極の不二一元哲学をカトリック教会が認めることは、今後も決してないであろう。その祈りを教会で叫ぶことを、僕はかろうじて思い止まったのだった。
式が終わって、僕は「山寺」に向かった。山形駅から電車で20分のところにあるこの場所は、一つの山全体に多数の寺社・仏閣が設けられた、東北地方の一大霊場である。
麓にある本堂