ガネーシャ神と聖母マリア 2


 ガネーシャ神にお祈りをした日の夜、思いがけない電話があった。
「ねぇねぇ、明日のバジャンの会で、一曲歌って欲しいんだけど……」
 僕は月に2、3回、麻布にあるサイビルというところで、サイババの帰依者の皆さんにお話をする。日曜の午後四時から五時までがバジャンで、それが終わってから十五分から二十分くらい。だが、明日はバジャンの歌い手が少ないので、歌ってくれと……。もうしばらく、バジャンは歌っていないのに……。
 ところが、彼女が続けて言うことに僕はちょっと驚いた。
「ガネーシャ・バジャンを歌って欲しいんですけど……」
 今日、ガネーシャのお寺にお参りしたのを、この人は知らない。知っていようはずがない。すると、彼女の後ろに控えていた何人かが、突然ガネーシャ・バジャンを歌い出した。
「聞こえるでしょ? この歌、歌って欲しいんですけど……」
 もう、まるまる一年も歌っていないガネーシャ・バジャンを、この日に歌えとは……。僕は思わず「はい」と言ってしまっていた。


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