聖者の世界 8


 ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂を始めとする、いわゆる四大聖堂を回る。かつて、2001年の元旦にローマにやってきた『大いなる生命と心のたび』一行が、25年に一度だけ開く聖なる扉をくぐった場所である。次にこれらが開かれるのは、今から23年後。そのとき、現在のローマ法王はもちろん、この世にいないだろう。
 今回の日本人ガイドさんは、たまたまカトリックの信者さんだった。聞けば、なんとサン・ジョバンニ・ロトンドに巡礼したばかりだという。8月3日にあの大天使ミカエルの洞窟に行き、4日にサン・ジョバンニ・ロトンドにいた。つまり、われわれと同じ巡礼のスケジュールだったのだ。
 さすがにカトリック教徒だけあって、各聖堂の説明が詳しい。今は固く閉ざされている聖なる扉を見ながら、今から23年前には何をしていたかを思い出してみた。あの頃、僕は東京に出てきたばかりの学生だった。人生の何たるかも知らず、ただ右往左往するばかりであった(今もそうだが……)。
 あれから今までがあっという間であったことを考えると、次の23年はさらに速やかに流れ、聖なる扉が開かれるに違いない。そして、そうこうしている間に、今回の人生もまた速やかに流れ去るに違いない。


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