まだ小学校に上がる前の頃だったと思う。
昭和天皇がお元気であられた頃、
あの天皇が亡くなるなどということが、起こるはずがないと私は思っていた。
何かの折りに、そのことを口にしたところ、
天皇陛下も人間なのでいつかは亡くなるのだと、父にたしなめられた。
なぜ、天皇陛下が亡くなるはずがないと思っていたのかは、思いだせない。
あんな、神さまのような方が、と思ったのかもしれない。
それと同じではないだろうが、私には、
サイババが肉体の衣を脱ぐときが来るということが、到底想像できなかった。
サイババ自身、自分が亡くなるときを予言しておられたにも係わらずである。
かつてサイババに何度もお目にかかり、その驚くような教えを直に聞き、
目の前で数々の奇跡現象を見などしていると、
あのような神人が亡くなるときが来るとは思えなかった。
が、今年、それは現実のこととなった。
今月の3日(祝)、半年に一度ほどの割りで行なっている四谷の講演で話そうと思い、
かつて読んだ本などを繙いていると、
そういえばあんなこともあった、こんなこともあったと、
次々想い出が湧いてくる。
きわめて個人的な想い出であるため、今まで本のなかでもどこでも……
書いたことも話したこともない話を含めて、
3日にはお話ししようと思いつつある。
もちろん、二時間にわたり、どんなに一生懸命私が話したとしても、
結局、サイババを理解することはできないということが、
最後に理解されるかもしれない。
しかしそれでも、なんらかの意識の深化を共有できるような、
そんなお話しをしてみたいと思っている。