改革 1

 権力者というものは、私利私欲に走る。それはわれわれ庶民が、それぞれに可能な範囲でそうするのと同じであるが、しかし彼らにおいては、その影響の大きさから、より大きな責任を伴うのは言うまでもない。
 権力者がマスコミから称賛されることはほとんどない。しかし、この国の権力者たちが多くの過ちを犯しながらも、血を流しながら適切な政策を実現してきたこともまた、事実である。
 吉田茂は、マスコミ受けする政治家ではなかったが、戦後の焦土から日本を国際社会にふたたび送り出すことに成功した。
 岸信介は、戦犯として一度は公職追放の身になりながら、日米安保改定を行ない、日本の高度成長の礎を築いた。
 中曽根康弘は困難を極めた国鉄民営化をなし遂げ、竹下登はあれほどマスコミに叩かれながら、大平正芳も中曽根康弘もできなかった消費税導入を行なった。
 いずれも、その時代時代で、これに反対するほうが格好がよかった案件ばかりである。そのほうが、マスコミの表に立って、正義の味方面できたのである。われわれ自身がそうであるように、同様に無責任で、目先の利益に汲々とする政治家の多くは、内心でこれらがどうしても必要なことなど承知しながら、反対してきた。
 もしその風潮に流されてこれらがなし遂げられていなかったなら、今の日本の安寧や繁栄はなかったであろう。
 私は、吉田茂や中曽根康弘、竹下登の人格について言っているのではない。彼らによる、そうした政策について語っている。

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事務局より御連絡

 これまで5年連続で当社のルルドツアーを催行してきた株式会社日本旅行が、今年の9月22日出発のルルドへの旅を企画しています。
 青山先生と下江添乗員は参加しませんが、担当の磯野さんはルルドへの旅を熟知しています。関心のある方は、下記までお問合せください。
株式会社日本旅行 :Tel:06-6344-1891 Fax:06-6348-1237
(担当)磯野
 ライトフィールド・青山先生のご紹介と言えば、さらに親身に相談に乗ってくれるはずです。
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体験談

ある方から、毎日瞑想を続けていて、ずいぶんいいことがたくさんあったと感謝された。体調もいいし、人生にもおおむね満足。いまやこれといって不足することがないという。
ところがその方には、一つだけ不満があった。自分には、特別に不思議なことが起きてこないというのである。
美しく、まぶしい光が見えたり、女神様がやって来られたり、過去世や未来を見たり……というようなことが、自分にもあってよいのではないか……。これは瞑想をする多くの方が、内心のどこかで感じておられることかもしれない。
そのようなことを経験する人が、かなりの割合でおられることには、実は私自身が驚いている。そういうことがあるから驚くのではない。その割合の多さに驚くのである。
とはいえ、10人に瞑想をお教えして、半分以上の方にそのような体験があるわけではない。普通は、体調がよくなるとか、仕事がうまく展開していくとか、ふとしたことで人生の美しさに気づき、新たな世界が開けたといった、通常の体験をされ、満足される。
だれでも神秘現象を体験するわけでもないし、それが瞑想の目的なのでもないことは分かっているけれど、自分にも少し……と思っていたある方が、2nd STAGEを受けられた。その方の体験談を、今回まとめた2nd STAGE体験集の最後のほうに載せてある。
ここに載っているものは、それぞれに尊く、有り難い体験の数々であるが、私はなかでも、この方の体験が好きだ。そしてあらためて、ヴェーダの英知に感謝したい気持ちになったのだった。

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災害 2

世界の平和のため、苦しんでいる人びとを救うために、何かをしたいが、何をどうしたらいいのか分からない。そう言われる方が、心優しい日本人に多いことを何度か書いた。
人によっては政治家になって、世界秩序に直接的に関与することになるかもしれない。あるいは、財界人となり、経済を動かすことで世界に安寧をもたらし得る人もいるかもしれない。官僚となり、日本の屋台骨を支えようという人、NGOを立ち上げて市民運動をしようという人、いろいろあるだろう。
それらはそれぞれに尊く、特別なカリスマを持った人が見事にやられたらよいが、私が誰にもできることとして勧めることは決まっている。祈ること。可能ならば、究極の祈りとしての瞑想をすることだ。
太古の英知・ヴェーダは、一貫して説く。この世界の苦しみは、われわれ個人の意識レベルの低さや、弱さから来ると。
それを一気に取り除くことはできないが、少しずつ、効率的に取り除くことで、われわれの人生は開けていく。そして、実はそのことが、周囲をも幸福にしていく最良の道だ。その周囲とは、家族や地域社会に留まらない。世界全体を含む。

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災害

しばらくエッセーをお休みしている間に、東京には地震が来て、台風が来た。
地震のときには、何人もの方から、大丈夫でしたかというメールをいただき、恐縮している。揺れは大きかったが、意外と被害は少なかったようだ。
こんなとき、外に出ていると、自宅はどうなっているだろうという心配にかられる。私の場合、一番心配なのは祭壇だ。祭壇には、インドやタイ、日本の神々の像が並んでいる。が、帰ってみると、神々は何事もなかったかのように、鎮座ましましていた。
自然災害がある度に思うのは太古の英知・ヴェーダの格言だ。戦争や自然災害は、そこに生きる生命の罪科によって引き起こされるというものだ。
戦争は当然そうだろうと思うが、自然災害はわれわれの意識とは関係がなさそうに思われる。が、ヴェーダはそう主張する。あるいは、災害はそれ自体のメカニズムで起こるが、まるで予定調和のように自然の英知が働いて、われわれの罪科が矯正される、という解釈もあり得る。いずれにしても同じことだ。
そのことと、災害に遇った人たちを助けるべきこととは矛盾しない。人は、それぞれの理由で幸福になったり不幸になったりする。その理由が分かることもあれば分からないこともあり、また、勘違いするときもあるが、いずれにしても、それぞれに理由があって物事は起きてくる。
幸福な人を見たとき、その人を心から祝福することができれば、われわれもそのような幸福に少し近づくだろう。
不幸な人を見たとき、彼を助けたいと願ったり、それを実行したりするのは人間として自然なことだが、それにより、われわれ自身は不幸から遠ざかる。それが、自然の法則らしい。

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第十回 〜ローマ・アッシジ・メジェゴリエ〜 十一日目

ザグレブからミュンヘン、そして成田へ。着いてしまうまで、気を抜けなかった。
後に知ったところでは、あの日、やはりクロアチア航空は飛ばなかったという。あのとき、もし決断できなかったら……もしバスが調達できなかったら……ドライバーがいなかったら……。
アンコーナの港に続き、われわれは過去10回の旅行のなかで最大の危機を二度、切り抜けたのだった。
実はアンコーナでも、港で待っていた美しいクロアチア女性が出国や乗船手続きを素早く処理してくれ、ぎりぎりで間に合った。そのときの彼女の緊迫した表情が、事態が真に深刻であることを物語っていた。
そして今回も、一人の女性がわれわれを救ってくれた。
「あれは二人とも、マリア様が遣わしてくれたんですね〜」
そう言った下江添乗員は、嬉しそうにこう続けた。
「二人とも、きれいな人でしたからね〜〜」
「じゃあ、『聖家族の家』で現れたあの謎の男はなんだったんです?」
実際、突然現れてわれわれを『聖家族の家』に導き、日本語の小冊子をくれて別れたあの男が何だったのかは、いまだに分からない。そして実際、彼がいなければ、われわれは『聖家族の家』を充分には巡礼できなかっただろう。あるいは、船に乗り遅れていたか……。
「ん〜〜、あれは〜、多分地元のガイドさんなんじゃないでしょうか。お客さんをつかまえて、最後ガイド料をとるんでしょう」
同じようなことをしても、美人は「マリア様の遣い」で、男はただのガイドか……。だが、彼はガイド料などとは少しも口にしなかった。
「私たちがあんまり無邪気に感謝したものだから、彼、言い出せなくなったのかもしれませんね」
そうだろうか。そうなのかもしれない。しかし、たとえそうであったとしても、彼もまた、聖母がこの旅のために遣わしてくれた人だったに違いないと、私は思った。
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この日は
「聖なる御助けの聖母」
の祝日だった
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スプリットの朝市
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聖なる神父と
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深夜の聖体礼拝
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古都を行く怪しい人々
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メジュゴリエの聖母2
(聖ジェームス教会)
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メジュゴリエの聖母3

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第十回 〜ローマ・アッシジ・メジェゴリエ〜 十日目

ホテルの立派なレストランで急いで朝食をとり、それから全員が一旦部屋に入った。すべての部屋が改装済み、全面ジャグジーのお風呂だった。これも秋山さんが特別に手配してくれていたことだ。残念ながらジャグジーを楽しむ時間はなかったが、それは次回に、ということで空港に向った。
秋山さんは、さらに珍しいものを手にしてした。クロアチア語で書かれた新聞である。
見れば、今回のツアー参加者の写真が大きく載っている。メジュゴリエに日本から巡礼団がやってきたというニュースが新聞に出たのだという。スプリットのレストランでたむろしていた謎のカメラマングループは、これを撮っていたのだ。
そんなことは、秋山さんも含め、誰も知らされていなかった。
「知ってたらちゃんとインタビューを受けて、写真をとらせてあげたのに」と下江添乗員が残念そうに言う。そう、本当なら、この写真の横を、さらに大きな下江さんのアップが飾っていたはずなのに、彼らも惜しいことをしたものだ。
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ホテルの入り口にたどり着く
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親子みたいな関係
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内容は・・・・・・読めません

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第十回 〜ローマ・アッシジ・メジェゴリエ〜 九日目

こんなに早く、ドブロヴニクをふたたび見ることになろうとは思いもよらなかった。美しいレンガ色調の昼間とは違い、今度はその一つひとつが光を発している。まさに「アドリア海の宝石」だった。
後方の席は、ほとんど全員が眠りについているようだったが、ドブロヴニクを過ぎて私は尚、まんじりともせず時間計算を繰り返していた。
途中でもし、バスに故障があったらどうするか。そもそも本当に、高速は完成しているのか。完成していなくて、アンコーナのときのように山道を迂回しろなどと言われた場合、時間的な余裕はどれくらいあるのか……。
だが、これまで3日間つきあって気心の知れた運転手がすぐに来てくれたのは救いだった。ザグレブの秋山さんが、飛行機が出ていないことを確認した後、即座にドライバーと連絡をとっていたのだ。再出勤があり得ること、充分に休養をとっておくこと、しかし飲酒をしないでおくこと、等々を指示したという。
彼女はまた、この頃、ザグレブ以外の空港とも連絡をとって航空機の発着状況を調べてくれていた。日本大使館にも連絡をとり、万一われわれが国際線に乗れなかった場合も全員が早期に帰国できるよう、航空会社に圧力をかけてもらう準備をしていた。
こんな有能な日本女性が、東欧の小都市で働いているのか……。そんなことを思ううち、いつしか私も眠ってしまっていた。
途中、もう一人の運転手が乗り込んできた。労働基準法の関係で、交代で運転するという。もう一方の運転手が休むための“ベッド”が、私の座席のすぐ下にあったのには驚いた。
夜間なので、トイレ休憩は、2、3時間に一度で足りた。少しずつ、ザグレブが近づいてくる。そのうちに夜が白み始め、何人かが起き出してくる。そしてまた、車内が静かになる。
そんなことを繰り返すうち、ついにバスはザグレブ市内に入ってきた。路面電車が今も走る、瀟洒な街だ。かつてオリエント急行は、この街が起点であったという。それに乗り込む貴族やお金持ちが常宿としたのが、ザグレブ・パレスホテルだ。
ホテル前では、秋山さんが道に出てくれていた。朝日を浴びて待っていてくれたこの人が、まるで女神のように輝いて見えた。
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運転手の寝床
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おいらにまかせなよ

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第十回 〜ローマ・アッシジ・メジェゴリエ〜 八日目

ザグレブとのやりとりで、幸い、新しい高速道路が完成し、所要時間は大幅に短縮できることが分かった。高速は、なんと4日前に完成したのだという。
「バスは調達できるんですか?」
「決断すれば、40分ほどで到着できるように手配してくれています」
それもザグレブの秋山さんがやってくれていた。だが、すでに空港待機が6時間を超え、皆、疲れていた。できれば飛行機で移動したい。依然、クロアチア航空は飛ばすと言っているらしい。しかし、もし飛んで来なかったら……という堂々巡りが続く。
「9時半の最終情報を待って、決断しましょう」
そう言っていたものの、その最終情報が来ない。10時、10時半と時間が過ぎ、最後に届いた情報は、飛ぶかどうかは分からない、というものだった。こうしてわれわれは、バスでザグレブに移動することを決めた。
皆さんに事情を説明して搭乗券を集め、航空会社に一旦出した荷物を回収してもらう。水を買っておいてください、お手洗いに行っておいてください……と注意を重ねる。
通常のツアーならここで、「一体どうなってるんだ!」「なんとかしろ!」などと罵声が飛ぶところらしい。いや、その前の段階で飛んでいる。
ところが、皆さんときたら、「ご苦労さまです」「お疲れではないですか」と逆に声をかけてくださる。そのような反応に、私も、下江添乗員も、涙がでそうになる。
そうこうしているうちに、バスが来たものの、今度は荷物がなかなか出て来ない。やっと出てきた荷物をバスに詰め込んだとき、すでに夜中の12時を回っていた。
本当に飛行機は飛ばないのだろうか……という疑念が、心のどこかで湧く。しかし今は、とにかく出発するしかない。
出発してすぐ、私は思わずマイクを持った。
スベトザール神父も、巡礼においては日常の利便性や快適性をすべて犠牲にするのだと言っておられた。それと引き換えに、われわれは神に向うのだと。
同じように、肉体をもつことできわめて不自由な状態にあるわれわれは、人生という名の巡礼をする。そうして徐々に意識を進化させていく……。
短い話を終えてから、皆さんにリラックスしていただけるよう『冬のソナタ』オリジナル・サウンドトラックのテープをかけた。音量を確かめようと後方の席に移動してみると、すでにほとんどの方が眠っておられる。皆、疲れていた。
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ローマの風景
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聖なるイコンの解説
(はるか後ろがその本物)

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第十回 〜ローマ・アッシジ・メジェゴリエ〜 七日目

夜9時45分、搭乗口が開き、人びとが列をつくり始めた。ザグレブ行きだった。ところが、これは後発便がザグレブから到着したもので、われわれは乗れないという。そんなことがあるのだろうか。われわれはすでに6時間も、空港で待っているというのに……。
ドブロヴニク空港の職員はまったく対応しないので、ザグレブの秋山さんとのやりとりが続いていた。ザグレブでは、飛行機は飛ばすと言っているらしい。しかし実際には、飛んで来ない。
ザグレブ行きは、明日の朝便もある。しかしそれが飛んでくるという保証はない。もしその便が来なければ、または乗れなければ、われわれは国際便を逃すことになる。
この時期、満席の国際便を逃せば、われわれは今度いつ日本に帰れるか分からない。しかも、気象条件による欠航なので、法律上、クロアチア航空は免責となるらしい。
つまりわれわれは、ザグレブ-東京間の片道を、新たに買って日本に帰らなければならなくなる。
「バスでザグレブに出るしかないかもしれません」
下江添乗員がそう言ったとき、私はすでに半ば、覚悟を決めていた。
「どれくらいかかりますか?」
「10時間くらいだと思います」
「地図を出してください」
テーブルに地図を広げ、所要時間を詳しく検討する。すると、10時間では無理で、12時間ほどがかかるという計算になった。早く決断しなければ、バスでも国際便に乗れなくなってしまう……。
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アッシジのひょうきん族
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シスター候補生たちと
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サンピエトロ広場の美女たち

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