読者の皆さんには意外に聞こえるかもしれないが、
子供の頃、「爆竹」に凝ったことがあった。
言うまでもなく、爆竹は、子供が扱うには危険な“遊び道具”だ。
しかし、たとえばこれをお芋に入れて空中高く放り投げ、爆発させると、
見事、音が何倍にも大きくなるのを発見するや、
私はその魅力にはまってしまったのであった。
そのうちに、爆竹を水中で爆発させる方法を自ら考案し、
これに成功したりもしたので、当時の悪友と連れ立ってよく遊んだ。
今日のようにパソコンやテレビがいくらでも娯楽を提供してくれる時代でも、
東京のように刺激に満ちみちた場所でもない、
田舎の田園風景でのことなので、皆さんにはご容赦いただきたい。
さて、6年生の夏休み、学校の砂場で爆竹を鳴らして遊んでいたら、
突然の雷雨に見舞われたことがあった。
帰ろうという悪友を制して、そのなかでなお、派手な爆音を轟かせていると、
ひっそりとして誰もいないと思っていた校舎のなかから、先生が一人出てきた。
私は当時、生徒会長を務めていたので、
よほど怒られるのかと思って身をかがめたら、
「青山君、面白いことしているねぇ」と言って、先生も一緒に遊び始めた。
校庭にあった大きなポプラ樹の木陰で雨をしのぎ、
得意になってさまざまな“技”を先生に披瀝しながら遊んでいたのだが、
雷雨はますます激しくなり、
木陰ではしのぎ切れなくなって帰路についた頃にはもう、ずぶ濡れであった。
自転車を飛ばして家に帰り着いたとき、濡れ鼠のようになった息子を見た母は……
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