かつてサイババはこう語った。
『人生で、最初に出あう師は母である。
次にひとは、父に会う。
そうしてひとは、師に出あう』
師は弟子を導くが、どこを導くのかと問われ、サイババは答えた。
物質世界という名の迷宮を導くのだと。
ひとにはもちろん、さまざまなレベルの師がいるが、
究極の師は、ひとを精神性に導く師であろう。
私には中学一年のとき、そうした人が現れた。
彼は私に、最初にヨーガや瞑想を教えた人だったが、その関係性はそう長く続かなかった。
カトリックの修道士でもあった彼は、修院長の命により、
生徒に個人的にヨーガを教えることを諦めざるを得なかったのである。
最後に、私のために祈ると言ってくれた彼は、本当に祈ってくれたに違いない。
後にサイババに出あったとき、そのことをサイババが教えてくれた。
そして、それらの出来事を記した拙著『理性のゆらぎ』が世に出るひと月ほど前に、
彼は修道院のなかで、ひっそりと息をひきとっていたのだった。
サティア・サイババが今年逝去されたことは、
多くの人にとって驚きであったに違いない。
サイババが亡くなる前、聖者カードゥヴェリは、その予言のなかで、
サイババの魂がすでに世界のさまざまな場所を訪れ、祝福を与えていることや、
非常に近い将来、肉体の衣を脱ぐことを述べていたが、
同時に、次のようにも記していた。
『(そのような未来がわたしには見えるが)
シヴァ神の御心はわたしの理解を超えているので……』
シヴァ神の御心は、未来を見通す聖者の理解すらも超えているとしても……
青山圭秀
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