第八回 〜聖者と天使、そしてローマ(B.Cコース)〜 三日目

 かつて、一人の優秀な日本人女性がイタリアにやってきて、医学を学んだ。脳外科を専攻した彼女は、しかし、あるとき手術中に感染し、自ら病床に臥す。数カ月を経ても一向に思わしくない病状を案じた友人が、彼女のベッドに置いていったのが、ピオ神父の写真だった。そうして、彼女は回復した。フランチェスカ原先生の実話である。
 その後彼女は、相続した資産のほとんどをピオ神父の病院に寄付し、現在、学会などの開ける立派なホールとして役立てられている。
 原先生ご本人に案内されて、教会、ピオ神父が聖痕を受けた聖歌台、神父の眠る墓、神父が受け取った膨大な手紙、聖痕により血に染まった修道服、修室などを見て回った。
 手紙は世界中から寄せられたが、神父はそれらの言葉が理解できる理由を聞かれて、「守護の天使が教えてくれるから」と答えている。聖痕から血を流し、告解に来た人の心を見抜き、さまざまな場所に同時に現れ、祈りながら亡くなっていった。
 神聖な波動の押し寄せるこの場所に来て、涙する人や、動けなくなる人も。(ピオ神父については、拙著『祈りの言葉』言葉』[幻冬舎]も参考にしてください)
 先生のご案内で見学した福祉病院もまた、ほとんどが寄付でできたという。最後に、子供たちの眼科病棟を見せていただくと、そこには、充分なスペースのなかで、たくさんの愛を注がれて治療を受ける子供たちがいた。そこで働くシスターたちは、みな、原先生のご友人。参加者全員が祝福を受けた。
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プールで運動
(視覚障害児の病棟)
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聖ピオ神父の遺品
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聖マタイの修道院の亀と
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酌み交わす二人
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サン・ジョバンニ・ロトンド
の赤い月

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第八回 〜聖者と天使、そしてローマ(B.Cコース)〜 二日目

 専用バスで、丘の上からナポリ市内と世界一の湾を見下ろす。
 丘の中腹に、かつて村山首相がサミットに来て倒れ、入院したという病院がある。ナポリに着いて、「ナポリを見て死ね、と諺にも言うからのぉ……」と軽口を叩いた首相、本当にナポリを見て“死んだ”のだった。
 途中、バスのなかでは、下江添乗員が絶好調、いや、舌好調と書くのか。車内は笑いの渦、渦、渦……。
 ポンペイ遺跡の見学後、美味しいイタリア料理に舌鼓をうち、この日の午後は4時間ほどのバス移動である。休憩をはさんで、前半で聖フランシスコの、後半で聖ピオ神父の説明を充分な量準備してきた。……が、いかんせん、笑い疲れ、お腹も満腹になった皆さんに、ちょうど睡魔がやってくる。
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ナポリを見て笑え
(下江添乗員)
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ヴェスヴィオス火山の前で
(ポンペイ)
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昼食に乱入する
イタリア人中年歌手

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第八回 〜聖者と天使、そしてローマ(B.Cコース)〜 一日目

 これまでのどの旅よりも盛り沢山となった巡礼の旅。この日の午前中は自由時間で、皆さん、思い思いにパリの休日を過ごす。
 その間に、Bコースの皆さんは成田を発ってミラノへ。われわれは午後、パリを出てミラノでお待ちする。

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 七日目

 ルルドで聖母と話したベルナデッタは、その後、ヌヴェールの小さな修道院に入り、34年の生涯を閉じた。遺体は、三十数年を経ても腐敗せず、現在も巡礼者に心の平安を与え続ける。
 今回、修道院のなかを案内してくださったシスター川田は、修道生活40年を越えるベテラン。その語り口は、落ち着きと慈愛に満ちている。こういう方がいるから、ツアー後、洗礼を受けたいと言い出す人が次々現れるのだ。
 だが、この日は一つの哀しい日。Aコースの方がパリを発って日本に向かわれる日だ。なかには、なんとかCコースに変更できないかと相談する方もおられたが、残念ながらそれができない。Cコースのわれわれは、ああよかった、まだ半分……と、密かに思う。
 でも、パリの空港でAコースの皆さんを見送ると、思わずもらい泣きしそうになる。
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エッフェル塔・午前0時

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 六日目

 四泊もしたというのに、もうルルドはいい、という気になれない。毎年のことだが、今年もやはりそうだった。そういえば、ルルド滞在中に付近の瀟洒な民家を見たKさん、あんな家を買って、将来は一年のうちの半分をここで過ごすというプランをお持ちとか、お持ちでないとか……。
 専用バスでトゥールーズを経由、そうして空路パリに入った。
 最初に向かったのは、サント・シャペル。かつてルイ9世が、コンスタンティノープルの皇帝から譲り受けたキリストの茨の冠や十字架の木片を納めるため造らせた礼拝堂だという。入った途端、四方からステンドグラスの光の渦……。その光と熱気に当てられた19歳のK君、思わずくらくらと目眩をおこしてKお姉様の肩にもたれか
かった。美男・美女の絵になるシーンに、周囲はしばし呆然……。やっと我に返って介抱する。
 6世紀、パリ司教サン・ジェルマンが造ったサン・ジェルマン・デ・プレ教会でデカルトの墓に御参りした後、一行は愛徳姉妹会へ。1830年、見習い修道女であったカトリーヌ・ラブレーに聖母マリアがご出現になり、さまざまな予言とともに『奇跡のメダイ』を残したご出現の現場には、死後、腐敗をまぬがれた聖女の遺体が今も眠る。
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サント・シャペルの光
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デカルトの墓標
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愛徳姉妹会は、
写真撮影が禁止になりました(^o^;
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パリの夜、懇親会で

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 五日目

 昨年、みんなで息を呑んだベタランの大鍾乳洞。今年はそれに、ベタランの教会巡礼が加わった。
 15世紀、ベタランの荒れ野で、数人の子供たちが光を放つ聖母子像を発見した。像は教会に移されたが、翌日、姿を消す。不思議なことに、またもとの荒れ野に戻っていたのだ。ふたたび像は教会に移されたが、翌日にはまた荒れ野に。こうしたことが三度繰り返された後、司祭は言った。この場所に教会を建てようと。
 このとき建てられた教会は、今も残っている。そしてなにより、その聖母子像の実物が残っている。お店で見るようなきれいな造りではないが、幼子イエスに乳房を含ませる、柔らかな聖母。何人かの方かの方はその清らかさと力に圧倒されて、その場をなかなか動けない。
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奇跡のマリア像
(ベタラン)

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 四日目

 パトリック・テリエ博士は、ルルドの聖母・国際医学協会会長であり、医務局の長を兼ねる。この方にお目にかかったのは、一昨年、学会と講演のため来日されたときだった。ルルドで起こる奇跡現象の医学調査を組織するこの方は、テレビなどでもお顔を拝見する。ルルドに来たら訪ねてくるようにと言われたのに、昨年は行くことができなかった。今年こそはと連絡をとり、この日、皆さんの前でお話しいただくことになった。
 聖母のご出現以来、ルルドでは無数の奇跡が起きてきたが、教会から正式に奇跡と認定されるにはきわめて厳しい審査が要求される。通常、10年ほどかかる審査を経て認定された奇跡の主たちの写真や標本の並ぶホールに招かれ、博士の講演を聞いた。参加者のなかには、もっと知りたいと、資料をお願いする方も。
 午後、博士にアレンジいただいて、ルルドの新病院を見学に行く。整った設備と、世界中からのボランティアの受け入れ態勢に驚く。ボランティアは、それぞれ胸にバッジをつけていて、われわれを案内してくれた方のバッジにはイギリス、フランス、ドイツ、スペインなどの国旗が描いてあった。つまり、これだけの言葉を話せますということなのだ。それに応じて、病気の方は、話しかける相手を選ぶことができる。
「ボランティアしてみたいけど、このバッジに日の丸だけじゃあ、ちょっと寂しいわね……」と誰かが言って笑わせる。
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ルルドの聖母・国際医学協会会員
になりました
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テリエ博士を囲んで
(ルルド医務局)
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新病院・病室
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新病院・食堂
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四ヶ国語を操る
ボランティアの方と
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ベランダで記念撮影

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 三日目

 朝食に降りていくと、Oさんが駆け寄ってくる。どうしたのかと話を聞くと、前日、ロウソク行列のとき、水で目を洗ったら半ば見えるようになったとのこと。彼女の左目は、長い間、ほとんど見えない状態だったのだ。
「落ち着いて、経過をみましょうね」
 そんなふうに言って“なだめる”が、本人の歓びは隠しようがない。そういえば、一度かぎりと思っていたこの旅行がこうして何度も続いているのは、最初の年、リウマチが劇的によくなった方が現れたからだった。
 午前中は、希望者をお連れして聖女ベルナデッタの生家、聖女の遺品、受洗の教会、ご出現の洞窟などへご案内。今年は新たに、聖女が修道院に発つ前の数年間を過ごしたという「ホスピス」を見学することができた。当時、聖女が毎日の祈りを捧げた聖堂や、直筆の手紙が、今も残る。
 午後、聖なる泉で水浴、生き返る。
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ベルナデッタの生家前で
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早速、カップヌードル大会

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 二日目

 トゥールーズから専用バスで、ルルドに向かう。途中、南フランスの丘の上にある美しい街サン・ベルトラン・ド・コマンジュに寄ると、たまたま日曜日のミサが終わったところ。信者の皆さんがワインとお菓子で談笑している。
「おお、おお、ちょっと飲んでいきなされ……」
 そんな感じで年配のおじさんからワインを勧められる。みれば、添乗員の下江さんは早速顔が赤い。何人かがつられてワインをいただくが、逆に、日本から持ってきたお菓子を振る舞う方も出て、場は一気に盛り上がった。言葉は充分通じなくても、美味しいものは世界共通で美味しい。
 その後、サン・リジェでは、12世紀に建てられた聖マリア大聖堂、フレスコ画で有名な聖リジェ大聖堂を巡礼。
 そうして夕方、バスの向かう先に、ルルドの町並みが……。ああ、ルルドだ。
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近代芸術によるキリスト像
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ワインと関係の薄い人びと
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冠の聖母

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第八回 〜聖母マリアの泉(A.Cコース)〜 一日目

 2000年に『最後の奇跡』を出したとき、一回かぎりと思って行ったヨーロッパの巡礼の旅。それが今回で5回目になる。そうして、いつの間にか、年間で一番楽しみな行事となった。
 子供みたいだが、大変なときも、夏の聖地巡礼の旅が近いと思うと頑張れる。当日の朝、懐かしい顔に会えると思うと、勇気が出る。その旅が、今年もついにやってきた。

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