人生」カテゴリーアーカイブ

聖夜 1

世界中が聖なる夜を祝うこの日、社会全体の状況も神聖かつ幸せ、というふうには必ずしも見えない。 世界にあまりに多くの不正や不幸があるのは言うまでもないが、豊かな国日本でも降って湧いたかのような耐震偽装問題が世情を賑わしてい … 続きを読む

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先輩 7

私は、彼の風貌を忘れていなかった。出席者の名簿には「三谷幸洋」、まさにその人の名があった。 おおよそ30年ぶりにお会いした先輩は、今はある通信系トップ企業の幹部である。 光栄にも私のことを覚えてくれていて、「昔と変わらな … 続きを読む

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先輩 6

 はっきり言って、人生は危機の連続である。しかし後にも先にも、生命の危機に瀕したのはその一度きりだった。  だが、私よりも沖に流されていた者が一人だけいた。それがSだった。Sがわれわれのもとに戻ることは、二度となかった。 … 続きを読む

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先輩 5

 必死で泳いでいるのに、岸には近づかなかった。しかも体力は、急速に消耗していた。手も足も、だんだん棒のようになってくる。山陰の冷たい水で、体温も奪われていっていた。もうじき、体が動かなくなることが予感された。しかしそれで … 続きを読む

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先輩 4

 今にして思えば、それは典型的な「離岸流」だった。  離岸流は、以下のような条件下で発生する: 1)海岸が太平洋や日本海等、外洋に面している 2)遠浅で、海岸線が長い 3)波が海岸に対して直角に入っている  だが、われわ … 続きを読む

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先輩 3

 久々の海水浴は鮮烈だった。水は冷たいが、入ってしまえば気持ちがいい。  水に体を浮かべ、空を見た。美しい青と、雲の白。潮の香りと吹き抜ける風……。それは、厳しい寮での生活や、期末試験を終えたわれわれに与えられた、一つの … 続きを読む

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先輩 2

 臨海学校に旅立つ前、実家から寮に戻っていた私の部屋を、友人のSが訪れていた。  当時、寮での生活は、楽なものではなかった。今なら新聞ネタになりそうな陰惨な出来事が、日常的に繰り返されていた。  まだ寮に入って日の浅かっ … 続きを読む

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先輩 1

今から33年前の夏、中学2年だった私は、島根県の浜田という小さな街に向かっていた。この街の小学校を借り切って、臨海学校のキャンプが張られたのである。 広島から約2時間、バスでの行程は楽しかった。進学校の過酷な期末試験を終 … 続きを読む

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災害 3

もう一つの指摘は、アメリカはイラク戦争の戦費を捻出するために、治水予算を削ったのではないかというものだ。 「長年、恐れていた嵐がやってくる。一生に一度のものだ」 市長は、そう言って非難命令を出したという。だが、「去年も避 … 続きを読む

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災害 2

ところで、今、この原稿を書いている時点で関東地方に雨をもたらしているのも、台風14号の影響だという。ところが驚いたことに、この台風は沖縄から九州のあたりを進んでいるというのだ。強風域はカトリーナの二倍。なんという巨大な台 … 続きを読む

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