投稿者「mariaoyama」のアーカイブ

アダムの肋骨14

気づいてみると、知らぬ間に眠りに落ちていたらしく、 寝返りをうとうとする自分のうめき声で目が覚めた。 もう一度眠ろうとしても寝つけず、 カーテンの外が明るくなってくるのを待つ。 そうして待ちわびた朝が来たと思って時計を見 … 続きを読む

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アダムの肋骨13

その昔、足首を捻挫した当日は普通に歩いたり、走りさえしていたのに、 その日の晩から患部が二倍くらいに腫れ上がったことがある。 全治一カ月。 同じように、わずかな気力と、聖地の不思議な力でもっていたものが、 ここで一気に崩 … 続きを読む

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アダムの肋骨12

突然何かが起こるという可能性は棄てきれないものの、 なんとか、外宮、内宮の参拝が終わっていった。 そのうち、私には、 胸の骨が折れているときでも、車の上下動のような不連続なものでなく、 スムーズな動きであれば、なんとか普 … 続きを読む

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アダムの肋骨11

参拝中、もう一つ、心に強く浮かんだことがある。 それは、「体が不自由であること」についてだった。 この日、私自身が不自由な状態で伊勢にたどり着き、 神宮でのお勤めが完遂できるかどうか分からない状況に陥った。 完遂したとし … 続きを読む

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アダムの肋骨10 

伊勢市駅では、そのTさんご夫妻と、 車を出してくれた現地の会員さんが、半ばにこやかに、半ば心配そうに迎えてくれた。 「大丈夫でしたか?」と問われ、 私は思わず「いや、その……」と口ごもってしまった。 すぐに気を取り直し、 … 続きを読む

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アダムの肋骨9

名古屋で新幹線を降り、伊勢に行くには、二通りの方法がある。 一つは近鉄特急で、もう一つはJRだ。 近鉄のほうが、やや運賃は高いが、スムーズで速い。 だが、どちらが乗り継ぎがよいかは、行ってみなければ分からない。 着いてみ … 続きを読む

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アダムの肋骨8

かつて、垂仁天皇の治世二十五年三月十日、倭姫命は天照大神の鎮座地を求め、 大和纏向(まきむく)の珠城(たまき)の宮を旅立った。 近江に入り、美濃の国を経て伊勢に至った時、大神のお告げを得、 斎宮(いはひのみや)を五十鈴川 … 続きを読む

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アダムの肋骨7

携帯に対応しながら、私は事故現場を離れ、幹線道路に出た。 どれくらいの時間が経っていたのだろうか、通りはウソのように車が流れていた。 すぐにタクシーが来たので、私は座席にからだを忍び込ませようとした。 体をかがめても、腰 … 続きを読む

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アダムの肋骨6

私には、もう一つの懸念があった。 今、救急隊員に何かを聞かれ、まともに答えれば、 私は救急車に搬入され、病院に行くことになるだろうと思われた。 見たところ、運転をしていた二人には、内心の傷はともかく、 目立った外傷はない … 続きを読む

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アダムの肋骨5

運転していた女性は、気丈で冷静だった。 迂回路に入ったときも、渋滞に気づいた彼女は、即、 もとの幹線道路に戻ろうとしたのだった。 ところが、一方通行であったり、 タイミングが微妙にずれたりしてそれができないでいる間に、 … 続きを読む

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