「早生まれは損」の感覚は、
中学・高校時代に入ってから多少は薄らいだが、それとは別に、
当時、なんとかして大学に早く入学できないものかと思った時期があり、
さまざまな方法を考えた。
決して効率的とはいえない高校は辞めてしまって一人で勉強し、
大学入学資格検定=「大検」なるものに受かってしまえば、
大学に入れるかと考えたりしたのであったが、
結局、それらはすべて無駄であった。
法律の文言のなかに、
大学には満18歳になった日以降でなければ入れないという一文があったのである。
ところが、人間の作った法律には常に抜け道があるらしく、
大学に入ってずいぶんしてから、先輩のなかに特異な方がおられたことを知った。
現代の都市伝説、ならぬ大学伝説のようなそのことを知ったのは……
おそらく当時の学生のなかでは私だけだったに違いない。
その人は、なんと17で大学に入られたというのである。
受験願書には、したがって、虚偽の生年が記載してあった。
入学後のどこかの時点でそれは発覚したのであったが、
しかしもとよりそのような法律に罰則があろうはずもなく、
大学側もこれを表沙汰にすることなく、卒業させたという。