「いまや、わが国の財政は、破綻の危機に瀕している……」
先日再放送されたNHKの番組から聞こえてきたナレーションである。聞き慣れた言葉ではあるが、同時に語られた次の言葉のほうに、僕は愕然とする。
「国の借金、国債発行残高82兆円……」
おや、と思われるに違いない。この番組が最初に放映されたのは、今から20年前、土光臨調の頃なのだ。
今となっては、たったの82兆円だった……と言いたくなってくる。それでも当時、国家財政は破綻の危機に瀕していると言われていた。ところが、その後も国債の発行残高は増え続け、現在は414兆円。予算の1/3は利払いに消える。それもまた国債の発行でまかなわれ、雪だるま式に金利が膨らむ。
今後も、国債は発行され続けるだろう。そうする他はないのだ。そうして行き着く先は……、ハイパーインフレだという説がある。インフレにして、国の借金を目減りさせる。しかしそれは同時に、国民全体が貧しくなることをも意味している。
そうならないための「構造改革」。それは決して人ごとではないのだが……。
青山圭秀
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