旅日記33


7月11日-3
「日本から来られたのですね?」
シャンカラーチャーリヤはそのようにして話し始められた。
「日本では、仏教が信じられているのですか?」
「はい、おおむね」
「仏教で一番大事なことは?」
「慈悲……でしょうか」
「皆さんも全員、仏教徒ですか?」
「仏教徒もいれば、キリスト教徒、ヒンドゥ教徒もいます」
「そうですか、そうですか……」
シャンカラーチャーリヤの微笑みは、
それこそ慈悲深い父親のようだった。
お目にかかれるかどうかわからなかったとはいえ、私は予め、
バスのなかでシャンカラーチャーリヤについてある程度の解説をしていた。
しかし、今回の旅と直接関係があるとは知らされていなかったので、
皆さんはそれを聞き逃されたかもしれない。
それでも、このときのシャンカラーチャーリヤの慈愛の波動を受け、
何人かの方は涙を流された。
私はといえば緊張しきっていて、
「何か質問がありますか?」
とシャンカラーチャーリヤに問われて……


なんと、何も思い浮べることができなかった。
生涯に一度のチャンスかもしれないというのに……。


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