『信心生活の入門』について書いたところ、
早速、その本を読みたいというお便りを読者の方からいただいた。
ちょうど洗礼式のために四谷に出たので、
カトリック出版の老舗・中央出版社(今のサンパウロ)に行ってみた。
フランスコ・サレジオの『信心生活の入門』と言うと、
店員さんは即、理解してくれた。
その様子に、私はある種の満足感を覚えたが、
ところが彼女は済まなそうにこう付け加えた。
「あれ、今ないんですよ
うち(サンパウロ)から出てる本なんですけど……」
再版の予定もないといわれるのでがっかりしたが、
世の中、そうしたものかもしれない。
それほどいいとは思えない本がベストセラーになることもあれば、
歴史を経て読み継がれてきた名著が刷られなくなることもある。
店員の女性は、この本には今でも引き合いがたまにあるのだが、
とりあえずどうにもならないと言った。
ところで、どこまでも格調高い『信心生活……』のなかでは奇妙にみえる一節、
「ダンスをしてはならない」をたまたま引用したが……
やはり現代に生きるわれわれには理解し難いことだったようだ。
特に、心温まるコメントをときどきくださるBlessedTruthさんは、
かつて『黒猫のタンゴ』を学芸会で踊ったが、
『より大きな刺激は…欲しくならなかった』と書かれている。
しかし同時に、
『それにしても、欲しくなって何故いけないのでしょうか??』
という刺激的な一文もいただいた。
この一言にドキドキしてしまい、
気もそぞろとなってしまった私は、
やはり単なるおじさんであるに違いない。